こんにちは!
リーマン建築士の「たけし」です!
このブログでは、
H29年度に学科・製図ともに一発合格した私が「やってよかった」ということを紹介していきます。
今日のテーマは
【道路斜線制限】
覚えることが多い一級建築士試験は、深く覚えすぎるとハマりますww
ですから、
なるべくざっくりと覚えてしまう方が得点を取りやすいです!
今日は、「道路斜線のおさえるポイント」について
ざっくりお話ししていきます!
ちなみに、
斜線制限は建物の一部でもかかったらダメというのが基本になります!
道路斜線制限がある意味
斜線制限を覚えるためには、
「なんでこんな制限があるんだ?」という斜線制限がある意味を
ざっくり理解しておくと覚えやすいです!
道路斜線制限は、
道路に圧迫感や影をなるべく生じないように配慮させるためにある制限です!
道路斜線制限:道路への圧迫感や影への配慮
もし道路斜線が無くて、
下図のように境界ギリギリに天空まで伸びるような建物があったらたまりませんからね!
道路斜線があることで、
こうした圧迫感も軽減されるようになります!
道路斜線の発生する「起点」
道路斜線がどこから発生するのかを、まずは押さえておきます!
「どこから」というのは、
「起点となる高さ」や「起点となる位置」です!
道路斜線の「起点となる高さ」
道路斜線の起点となる高さは「道路中心線の高さ」です!
図で示すとこんな感じです⇩
道路は中心が高くなっていて周囲に向かって下がっているので
道路に水が溜まらないようになっています!
(道路側溝が道路の両脇にあるのも道路の排水のためです)
道路の中で一番高い道路中心線が、道路斜線の起点の高さとなります!
道路斜線の起点の高さ:道路中心の高さ
道路斜線の「起点となる位置」
道路斜線の起点となる位置は「道路の反対側」です!
図で示すとこんな感じです⇩
道路斜線の起点の位置:道路の反対側
「住居系」と「その他」の用途地域で制限高さが違う
道路斜線制限は、
「住居系」と「その他」の用途地域で制限を受ける高さが違います!
「住居系」とは、以下の7つの用途地域のことです
- 一低(第一種低層住居専用地域)
- 二低(第二種低層住居専用地域)
- 一中(第一種中高層住居専用地域)
- 二中(第二種中高層住居専用地域)
- 一住(第一種住居地域)
- 二住(第二種住居地域)
- 準住居(準住居地域)
「その他」とは、以下の6つの用途地域のことです
- 近隣商業地域
- 商業地域
- 準工業地域
- 工業地域
- 工業専用地域
- 指定のない地域
「住居系」の用途地域の制限高さ
住居系用地地域の道路斜線制限の高さは「1.25A」です!
図で示すとこんな感じです⇩
住居系:1.25A
住居系の用途地域は、基本的に住宅がメインになる場所なので、
道路にもなるべく圧迫感や影が生じない豊かな環境になるように
斜線の角度は低くなっています!
「その他」の用途地域の制限高さ
その他の用地地域の道路斜線制限の高さは「1.5A」です!
図で示すとこんな感じです⇩
その他:1.5A
その他の用途地域は、基本的に密集地になるような場所なので
圧迫感や影が生じることに多少目をつぶって、
なるべく建物をめいっぱい建てれるように
斜線の角度は高くなっています!
道路斜線の「緩和」は6つ
道路斜線にかかわる緩和は、次の6つです!
ちなみに、
「天空率」だけは他の緩和と併用できない(まったくの別物と思った方がいい)です!
セットバック緩和
建物が道路境界線から後退(セットバック)することで受けれる緩和措置です!
建物が道路境界から離れれば、
それだけ隣地に圧迫感や影を生じさせにくくなるので、
制限が緩和されるということです!
セットバック緩和は、
道路境界から離れた距離(後退距離)の分だけ、
道路斜線がスタートする位置をずらすことができることです⇩
建物に庇があるときは、道路境界から庇までの距離
となります⇩
L字型のような建物が出っ張っている形状の場合は、
道路境界と建物(もしくは庇)までの距離が一番狭いところが後退距離となります⇩
建物より道路側に「小屋など」がある場合
建物より道路側に「小屋など」があるとき、
小屋の大きさで後退距離が変わる場合があります!
例えばこんな状況です⇩
道路側にある小屋が”青字の数値”の範囲内なら、
後退距離は建物までの距離になります⇩
逆に、
道路側にある小屋が”青字の数値”を超える(または未満)なら、
後退距離は小屋までの距離になります⇩
建物から道路側に「ポーチなど」が出ている場合
建物から道路側に「ポーチなど」が出ているときは、
ポーチの大きさで後退距離が変わる場合があります!
例えばこんな状況です⇩
道路側にあるポーチが”青字の数値”の範囲内なら、
後退距離は建物までの距離になります⇩
逆に、
道路側にあるポーチが”青字の数値”を超える(または未満)なら、
後退距離はポーチまでの距離になります⇩
道路境界沿いに「高さ1.2mを超える塀など」があるとセットバック緩和が使えない!!
道路境界沿いに「高さ1.2mを超える」塀などの工作物があると、
セットバック緩和が使えないので要注意です!!
「高さ1.2mを超える」というのは
「道路中心線の高さから見て、高さ1.2mを超える」ということです!
道路より敷地が高い場合も要注意です!
塀自体の高さが1.2m以下であっても、
高低差が足されると1.2mを超える場合もセットバック緩和が使えないです!
セットバック緩和の「後退距離」をざっくりまとめ
セットバック緩和の後退距離についてまとめると、
下のようになります⇩
道路斜線のセットバック緩和の「後退距離」
道路境界から後退している距離
庇や建物の出っ張りなど、一番狭いところの距離
小屋やポーチの大きさで、後退距離が変わることがある
道路境界沿いに、
道路中心線からの高さで1.2mを超える工作物があると、
緩和が受けられなくなる
水面緩和
道路の反対側が「水路や川・公園や広場、など」であった場合に受けれる緩和措置です!
水路や川・公園や広場のように、十分解放されている場所は
圧迫感や影が気になりにくいので、
制限が緩和されるということです!
水面緩和は、
道路の反対側が「水面」または「公園や広場」または「これらに類するもの」であった場合に、
それらも含めて道路とみなして緩和されるものです⇩
ちなみに、
法律の条文ではこんな感じで書いてあります⇩
前面道路の反対側に公園、広場、水面その他これらに類するものがある場合においては、当該前面道路の反対側の境界線は、当該公園、広場、水面その他これらに類するものの反対側の境界線にあるものとみなす。
基準法施工令の一部抜粋
「道路の反対側に公園、広場、水面などがあったら、それも道路とみなすよ」
と言ってくれれば簡単なのに・・・
ややこしく言いますよねww
水面緩和が適用される道路の反対側
水路や川などの「水面」
「公園」や「広場」
その他これらに類するもの
高低差緩和
道路が低いときに受けれる緩和措置です!
道路の方が低いと、
そのまま道路斜線を受けるとメチャクチャ厳しい制限を受けるので、
「少しは緩和してやるか」と温情がかかって制限が緩和されるという
人間味あふれる珍しい緩和措置です!
高低差緩和は、
道路が低いときに(高低差ー1m)÷2の分だけ高い位置から道路斜線がスタート
するように緩和してくれる措置です⇩
例えば、
道路が4m低い場合はこのようになります⇩
高低差緩和
道路が低いときに適用される
(高低差ー1m)÷2の分だけ、道路が高い位置として道路斜線がスタート
2方向道路緩和
敷地が2つの道路に接しているときに受けれる緩和措置です!
図で示すとこんな状況の敷地です⇩
広い方の道路幅員を「A」
狭い方の道路幅員を「B」
としています。
2方向道路緩和は、
敷地が広い道路と狭い道路の2つに接しているときに、
広い方の道路条件を適用できる緩和です!
ただし、
広い方の道路側からの距離で、適用される条件も変わってきます!
適用される条件を図で示すとこんな感じです⇩
幅員の広い道路から『2A 且つ 35m以内』は、
広い道路幅員とみなします!
図で示すとこんな感じです⇩
『それ以上』に奥に入った部分は、
道路中心線から10m以内は、狭い道路のまま道路斜線を受けて
10mを超えたところからは、広い道路として道路斜線を受けます!
図で示すとこんな感じです⇩
2方向道路緩和は、2つの道路が「敷地の反対側同士」の場合も適用
”2つの道路”が、敷地の反対側同士の場合も適用されます!
図で示すとこんな状況の敷地です⇩
適用される条件は、図で見てもらった方が早いので
こんな感じです⇩
上図の「それ以上」の範囲は、「2A且つ35m以内またはそれを超える範囲」となります。
もし敷地が2A且つ35m以内に納まっている場合は、敷地全体が広い道路として(狭い道路も広い道路の幅員とみなして)道路斜線を受けることになります。
広い道路の方は、広い道路のまま道路斜線を受けます!
(当たり前っちゃあ当たり前ですよねww)
反対側の狭い道路の方は、
道路中心線から10m以内は、狭い道路のまま道路斜線を受けて
10mを超えたところからは、広い道路として道路斜線を受けます!
住居系で道路幅員12m以上の緩和(一低・二低を除く)
第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域を除く住居系の用途地域で、
道路幅員が12m以上ある道路がある場合、
緩和を受けることができます!
道路幅員の1.25倍から緩和を受けれるので「1.25緩和」と呼ばれたりしています!
道路幅員が12m以上で緩和を受けれる用途地域は、
以下の5つです⇩
- 一中(第一種中高層住居専用地域)
- 二中(第二種中高層住居専用地域)
- 一住(第一種住居地域)
- 二住(第二種住居地域)
- 準住居(準住居地域
※第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域では、
絶対高さが10mまたは12mなので、
幅員12m以上あると道路斜線より絶対高さの方が低くなるので
この緩和は適用されません(というか適用しようが無い)!
住居系で道路幅員12m以上の緩和(一低・二低を除く)は、
道路幅員の1.25倍以内は、1:1.25勾配の道路斜線を受けて
道路幅員の1.25倍超えは、1:1.5勾配に緩和される
というものです!
図で示すとこんな感じです⇩
ちなみに、
1.25緩和とセットバック緩和を併用したときより、
セットバック緩和を併用しないときの方が有利になることもあります。
(セットバックした分だけ、みなし道路幅が広がっちゃう為です)
このときは、
有利になる方(セットバック緩和を併用しない方)を選択することができます。
ただ、
他の緩和を併用するかしないか選ぶようなものは
計算問題で出題されることは考えにくいです!
出されるとしたら「文章問題」ですが、
そうめったに出題されるようなものでもないので、
1.25緩和は、頭の片隅に入れとけば良いとおもいますww
天空率緩和
天空率緩和は、いろいろとややこしいので、
ざっくり言うと、
道路境界の外側にある測定点から見て十分な天空が見える状況なら
道路斜線制限を緩和できる措置ということです!
想定半球の中心として算定する天空率が、当該建築物と同一の敷地内の同一の地盤面において隣地高さ制限に適合するものとして想定する建築物の当該位置を想定半球の中心として算定する天空率以上であること。
基準法施工令の一部抜粋
法律上の条文を見ても何が何やらですよねww
この緩和措置は、法規の計算問題では使うことは無いです!
(天空率使うような計算問題出てきたら試験時間フルに使っても解けませんww)
出てくるとしたら
「道路斜線制限に抵触する建物の建築に、天空率緩和を利用した」みたいな文章問題です!
難しいことは考えないで
道路斜線制限も天空率緩和が使えるということだけ覚えておけばOKです!
道路斜線制限も「天空率緩和」が使える
道路斜線の「適用除外」距離
道路斜線制限には、
用途地域や容積率に応じて
ある一定の距離以上になると道路斜線を受け無くなる「適用除外」があります!
図で示すとこんな感じです⇩
ただ、
この適用除外をしっかり覚えようとすると大変なので、
「道路斜線には適用除外される距離があるな~」
くらいを意識しておけば十分です!
適用除外があることを知っていれば、
あとは法令集でチェックするだけですから!
一応ざっくりと表にまとめると
こんな感じです⇩
用途地域 | 容積率 | 適用除外の距離 |
---|---|---|
住居系 | 200%以下 | 20m |
200%超~300%以下 | 25m | |
300%超~400%以下 | 30m | |
400%超~ | 35m | |
商業系 | 400%以下 | 20m |
400%超~600%以下 | 25m | |
600%超~800%以下 | 30m | |
800%超~1000%以下 | 35m | |
1000%超~1100%以下 | 40m | |
1100%超~1200%以下 | 45m | |
1200%超~ | 50m | |
工業系 | 200%以下 | 20m |
200%超~300%以下 | 25m | |
300%超~400%以下 | 30m | |
400%超~ | 35m | |
指定なし | 200%以下 | 20m |
200%超~300%以下 | 25m | |
300%超~ | 30m |
どの地域も「20m」から適用除外の要件が発生することを覚えておきましょう!
道路斜線の発生位置から20mを超えたら
「適用除外があるかな?」
と法令集をめくってチェックしましょう!
※あくまで「20mを超えたら適用除外の可能性がある」だけなので、
「20mを超えたら適用除外される」と勘違いしないでくださいね!!
コメント
幅員が異なる道路に挟まれた(サンドイッチされた)パターンで、狭い道路の中心から10mの方が優先され、残りが広い道路の適用とありますが、正しいでしょうか?
他のサイトなどでは、あくまで広い道路の2Aかつ35mを超えた部分についてのみ、細い道路の10m規制が掛かるような書き方をしているようです。
確認頂いたほうが良いかと思います。間違っていたら申し訳ありません。
コメントありがとうございます!
幅員が異なる道路に挟まれた(サンドイッチされた)パターンの図に記載の「それ以上」の部分の補足を加えさせていただきました。
MIKIさんのご指摘のおかげで分かりにくい表記になっていたことに気づくことができました。ありがとうございます!